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漢方内科・漢方皮膚科

外来担当医表

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古橋 健彦

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古橋 健彦

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漢方内科 漢方皮膚科の紹介

私は6月から県立志摩病院で勤務し、また、7月からは前島診療所でも火曜日、金曜日の午後から週2回、東洋医学・皮膚科の外来を担当しています古橋健彦です。出身は北牟婁郡紀北町海山区(旧海山町:みやま)です。
4月まで、そこにある神谷医院で皮膚科・漢方診療(アトピー性皮膚炎、自律神経失調症、神経症、婦人科、整形外科、内科、小児科、泌尿器科、眼科)をしていました。
なぜ、私が東洋医学・漢方に興味を持ったかと申しますと、祖父が漢方を幾分使っていたこと、父が皮膚科泌尿器科疾患のみならず、その他の科の疾患にもよく漢方を用いていたこと。また、兄が松阪市内で鍼灸・接骨医として開業し、いろいろと西洋医学とは異なる治療法や、考え方を教えてくれたことなどがあります。また、私は以前、藤田保健衛生大学病院の本院で皮膚科中心の研修(皮膚科・熱傷班・小児科・放射線科・消化器外科・麻酔科)を受けた後、津市にある藤田保健衛生大学の分院である津久居の七栗サナトリウムにリハビリテーション科に転科し、勤務していました。そこで慢性関節リュウマチのご年配の婦人の患者さんの主治医を担当させて頂いていました。その方がある日、とぼとぼとおぼつかない足取りで私の前に来られ、泣きながら私に両手の掌の上にあふれんばかりの西洋薬を示しながら、「こんなにたくさんの薬は飲めないです。何とかしてください!!」と訴えられました。そのことが私にとっては、とてもショックでした。そして、そのことが以前から興味を持っていた、「東洋医学・漢方」への関心に火を点けさせたのでした。以来、西洋医学の治療の傍ら、少しずつ治療に漢方薬、東洋医学の治療を用いるようになりました。

東洋医学には漢方薬を飲んだり、塗ったりする「湯液」(とうえき)とは別に、鍼やお灸を使う「鍼灸」(しんきゅう)、体のある部分を圧(お)したり、揉(も)んだり、筋肉や関節を伸ばしたりする「整体」(せいたい)または、「推拿」(すいな)といった治療法があります。
その中の鍼灸の治療法のそのひとつに、「瀉血(しゃけつ)」という治療があります。体の皮膚の表面に小さな赤い血管が幾条にもまとまって存在し、「細絡(さいらく)」と言いますがちょうど、何匹ものアカイトミミズが水の中でまとまっているような感じです。 また、舌の表や裏に青から暗赤色の斑を「瘀斑(おはん)」と言います。それと舌下静脈怒張(ぜつかじょうみゃくどちょう:舌のうらにある、2本の舌下静脈の血管がどす黒くなって、怒張して、蛇行している)がある場合、「細絡」・「瘀斑」「舌下静脈怒張」の三つを、東洋医学では「瘀血(おけつ)」があるといいます。つまり、古血(ふるち)が悪さをして、からだの働きに支障をきたしている証拠であると判断して、その古血を外に出してやるのです。
これは決して、大げさなものではありません。処置はいたって簡単です。とても細い注射針でその瘀血部分をちょっとだけ、突いてやるだけなのです。たとえ脳梗塞を発症し、その後血栓凝固を阻止予防する、抗凝血剤を内服されていましてもガーゼで、針でついたところを数分から10分ぐらい抑えてやればでおさまります。また、不安な人には、一時的に落ち着かせ、止血させるとても便利な漢方薬を「瀉血」行為の前か後に内服させることもあります。 うまくいきますと脳梗塞などで神経が麻痺して言葉がうまく言えなかった人がしゃべりやすくなったり、顔のゆがみがよくなって、顔つきが若々しくなったり、口笛など吹けなかったのがふけるようになります。顔面の皮膚の何とも言えない違和感が取れたりします。また、ラーメンやうどん、スパゲティなどの長い麺が後遺症でうまく啜れず、わざわざ短くはさみで切っていた人が、その必要がないほど啜る力が回復したりしています。つまり、血行が瀉血することよくなり、それがダメージを受けていたところの知覚神経や運動神経の働きをよくするのです。「瀉血」は古来より、世界中で行われていた治療法ですが、肩こりにや神経症などに、昔は野生の蛭(ヒル)を捕まえてきて、背中や肩に置いて古血を吸わせていました。また、吸い玉(すいだま)というガラスの容器を用いた陰圧吸引も現在、鍼灸院などで行われています。インドでは「アユールベーダ医学」という古代からの伝統医学が現在も脈々と受け継がれて、鋭い刀のようなメスで皮膚を切る瀉血が行なわれています。

漢方と民間薬・健康食品との違い

漢方薬のお話をさせていただく前に、漢方薬と民間薬の違いを説明させていただきます。
民間療法、民間薬も生薬を用いますが、漢方とは似て非なるものですので、ここできちんと理解しておきましょう。

 【 漢方と民間薬 ・ 健康食品との違い 】

漢方と民間薬 ・ 健康食品との違いの表

つまり「漢方薬」は昔からの人々の、試行錯誤(しこうさくご)の繰り返しの中から、どうしたら副作用をなくし、効き目を強くし、どのような症状の場合に、体格や体力の具合を考慮しながら飲ませてよいかを含まれる生薬を足したり引いたりしながら作り上げていったわけです。かって、日本医師会の会長であられた武見太郎(たけみたろう)氏は、漢方薬を保険医療で採用する際に、薬の治験(ちけん:動物や人間に飲ませて効果や副作用を調べるテスト、現在では一つの薬の効力を調べようとすると10億円はかかるそうです)の必要性を問われたときに、笑いながら「数百年以上もの間、人口に膾炙されてきたものをなんで今更やりなおせねばならないだ!」と言われ、「もう十分、人体実験はしてきたじゃないか。それに耐えて今漢方薬は存在しているのにバカなことを言うなよ!」と断言されました。
異病同治(いびょうどうち:異なる症状を同じ薬で治す。例、葛根湯では風邪の悪寒や頭痛・下痢を治しながら、肩こりや湿疹、蕁麻疹、顎関節症、歯痛にも使うことができる。)という素晴らしい複数の疾患にも効能を有する処方をもし、一つの症状だけで軽く10億円もかかる治験をやるとなると膨大な費用がいるわけですから、武見太郎会長の英断は眞に時機を得たものと言えましょう。

秋から冬にかけての皮膚の漢方薬

  1. しもやけ・アカギレに 38番 当帰四逆加呉茱萸生姜湯・71 番四物湯
  2. 全身や四肢・下腿伸側(あしのすね)の皮膚の乾燥と痒み 86番 当帰飲子
  3. 腰が冷えて、だるい、手や足の皮膚があれる人 106番 温径湯

県立志摩病院 診療部東洋医学・皮膚科

古橋 健彦

気血水の循環のバランスが崩れ、量が不足したり、流れが異常になったりすると生体に様々な症状が出てきます。冷え、のぼせ、動悸、不安感、抑うつ気分,うっ血、
月経異常、皮膚のくすみ,むくみ、浮腫、尿量異常、めまい、口湯

『気 ・ 血 ・ 水』
この3つの構成成分のバランスが崩れると上図のようにいろいろな症状が現れてきます。

38番 当帰四逆加呉茱萸生姜湯

今回、しもやけ、あかぎれに  38番 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくごしゅとう)をお勧めします。
手指足趾・手首や足首など関節の変形をきたす慢性関節リューマチや口腔内の唾液が減り、皮膚も潤いがなくなりツッパリ、顔の表情も乏しくなるシェーグレン症候群などの膠原(こうげん)病の、「予備軍」としては実は、女性に多い、しもやけやアカギレのある冷え性のひとが比較的多く認められます。 
このしもやけやアカギレを漢方薬の当帰四逆加呉茱萸生姜湯が治します。この薬は人によって効き方が異なりますが、早い人では1か月から4,5か月、頑固な人は足掛け3年、夏でも靴下が手放せない冷えがひどい人は毎日内服で2,3年内服します。「足掛け3年」とは、たとえば、平成25年の秋口(11月)から翌年の平成26年春(3月から4月)まで内服し、その後は一旦休薬し、再び平成26年秋口から翌々年の平成27年の春まで内服します。そうするとほとんどの方は体質改善が終了し受診しなくなります。この薬は現在では整形外科領域でも結構改善目的で脊柱管狭窄症などでも用いられます。ただし、この場合はさらに長期間の内服が必要です。
また、38 当帰四逆加呉茱萸生姜湯以外にも71番 四物湯(しもつ)もしもやけやつめのもろい人によく効きます。ただし、胃が弱い人にはあらかじめ医師に申し出てください。胃にも優しい43番の 六君子湯(りっくんしとう)や32番の人参湯(にんじんとう)や他の薬と併用したり、飲み方を変更します。

当㷌四逆加吳茱萸生姜

効用
  1.  冷え症
  2.  下肢痛
  3.  下腹痛
  4.  小腹硬満
  5.  凍瘡
  6.  頭痛
  7.  腰痛症
  8.  心窩部不快
  9.  習慣性頭痛
  10.  坐骨神経痛
ポイント
  • 手足の先の冷え
  • アカギレ・ひび割れ
  • 赤くない小さいニキビ
  • 生理痛が強いひと
  • 末梢循環障害

貧血のひとに多い、赤みがすくない、下ろしがねのギザギザのように先のとがったニキビ にもよく効きます。

毛細血管などの末梢循環の血行がよく改善します。微小循環改善作用例えば、直径1ミリの細い血管0.1ミリ太くなると、時間当たりの血液の流れる量はどうなるでしょうか。
なんと!実に46.41%も血液量がふえてしまうのです。

※白湯で食間または食前にお飲みください。また、苦いと感じる場合は、蜂蜜などを一緒にお湯に溶かしお飲みください。

[成分]  : トウキ・シャクヤク・ケイシ・サイシン・ゴシュユ・モクツウ・ショウキョウ・タイソウ・カンゾウ

71番 四物湯

西物蕩 生薬には、当帰、1等、地意、芍薬の4つが含まれ、胃弱の人に使う場合は、控えるか。あえて、食前や食間ではなく食後に服用させるか、人参湯を併用。またん、蜂蜜を湯に溶かせて内服。

86番 当帰飲子

寒い時期になると全身の皮膚が乾燥し、ある人は何も皮疹(ぼろ)らしい皮疹(ぼろ)もないのにやたら全身がかゆくなり、日中はまだしも夜中には布団の中が温かいこともあり、更にかゆくなり眠れなくなってしまいます。
ある人は特に足のすねの皮膚が、さながら鳥取の砂丘の「風紋」のように規則正しい、敷石状やうろこ状の切れ込みが入ったような亀裂が認められます。
これは痒さのあまり、ただでさえ加齢で皮膚表面の皮脂が不足しているのに、石鹸をたくさんつけてナイロンタオルや一般の布のタオルで強くこすったせいで磨きがかかってつるつると光沢まで見える場合もあります。
また、粃糠疹(ひこうしんという)という、非常に細かな福家が真白く、皮膚表面を覆うこともあります。
こんな時は当帰飲子(当帰飲子)という漢方薬を内服してもらいます。また、保湿剤と鎮痒剤を配合した軟膏や紫雲膏(しうんこう)という漢方薬の軟膏を処方いたします。

当帰飲子

効用
  1.  湿疹
  2.  掻痒症

他では、ジューリング疱疹状皮膚炎全身の皮膚に小水疱(すいほう)ないしは水疱が発生する。中年男子に多く、ひどい掻痒(そうよう)のため睡眠障害や体重 減少をきたすことがある

血虚生風 治法:補血熄風

106番 温径湯

温経湯

効用
  1.  腰痛・帯下(白色)
  2.  手掌角皮症
  3.  過多月経
  4.  月経痛
  5.  更年期障害

※粉末の漢方は食間または食前に白湯によく溶かして飲んで下さい。
[成分] : モンドウ・ハンゲ・当帰・甘燥・桂皮・芍薬・川芎・人参・ボタンピ・ゴシュウ・ショウキョ・アキョウ

夏に弱い方の強〜い味方!!

136 清暑益気湯(せいしょえききとう)は、俗にいう“夏病(や)み”のくすりで、夏になると食が細くなり、水っぽいものをやたら欲しがり、手足がだるく、足の裏がほてり、時に下痢をしたり、大便がゆるくなったりするものを目標として用いられます。人間は東洋医学では「気」「血」「水」という3つの構成成分で成り立っているという考え方があります。

気血水の循環のバランスが崩れ、量が不足したり、流れが異常になったりすると生体に様々な症状が出てきます。冷え、のぼせ、動悸、不安感、抑うつ気分,うっ血、
月経異常、皮膚のくすみ,むくみ、浮腫、尿量異常、めまい、口湯

その3つの構成成分のバランスが崩れると上図のようにいろいろな症状が現れてきます。この清暑益気湯は熱病による消耗や慢性疾患などに用いられる訳ですが、糖尿病などの慢性疾患や手術後などによく気血(エネルギーや血肉になる成分)が不足した患者さんがおられるので適宜使用されてもよいと思われますので、「夏」にこだわることなく用いられるべき妙薬でもあります。
私は(古橋)は暑くなると屋外で働く人や元来体力に自信のない方におすすめしています。ぜひ、夏に弱い方、大病や大きな手術をした後で体力に自信のない方は医師にご相談ください。
また、脳梗塞の再発が不安な方には、従来市販薬で“続命湯(ぞくめいとう)”という処方と同じような効果があり、保険適応のある、つまり診察をうけて医師から処方される漢方エキス剤で、48十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)と25桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を併せて服用されることをお勧めいたします。
一般に脳梗塞になった方は血液をサラサラさせるお薬である、抗血栓抑制剤を服用されると出血し易くなり、モノにすこしでも当たるとたちどころに皮下出血が生じますが、この二つの漢方薬には血液をサラサラさせる効果とは別に血管と皮膚そのものを丈夫にします。これは血管そのものの柔軟にし、そこを流れる血球も変形し易くします。つまり、動脈硬化や血栓になり易い、血球の破壊が生じにくくなるわけです。さらに、便秘や肩こりや顔や手にでき易い肝斑(かんぱん)、つまりシミにも有効で、免疫力も強めますので風邪やその他の感染症に対する抵抗力を高めます。